![]() ![]() 本寄附講座は平成24年4月より第7期の教育・研究活動をスタートしております。 【活動構想】 電力エネルギー網は,経済活動と生活環境を支える最も重要な社会インフラの一つであるが,将来の電力エネルギー網の脆弱化が懸念されていることは周知のとおりである。理由の一つは,1980年代に導入された多くの機器が老朽化してきており,合理的・実用的な延命技術や診断技術の確立と,リプレースを経済的に実施するための新技術開発が急がれていることである。また,1970〜1980年代の電力技術の急速な発展を支えた技術者が高齢化して順次現役を退いており,技術の維持が懸念されることも理由の一つである。これらの課題を解決することは,大学の教育研究活動においても重要課題であると考えられる。 本「電力系統制御工学講座」は,上述のことを背景に大きくは次の3つのテーマを推進している。 【1】 産学連携・技術者教育の積極的推進 社会インフラ基盤を将来的にも確たるものとするために,電力エネルギー網の技術を将来担うことができる人材を育成することは,大学の一つの重要な役割である。しかし,その技術を支える「電気工学」は,世相の変化により最近は地味なイメージが持たれているため,大学においては,電気分野の面白さ,そして就職先としての電力会社や電機産業の仕事の魅力・やりがいをより多くの学生に伝えることが必要である。また,この分野を専攻した学生に対しては,企業のニーズに応えられるような人材に教育することも重要である。 資源の乏しい日本にとって,成長の源泉は言うまでもなく人材である。1970年〜80年代は欧米を目標に進めば良かったのが,昨今ではその目標が無く,成長のためには新たな価値・答えを自ら生み出すことが必要である。このような状況に対処できる人材には,基礎的な専門知識はもちろん大切であるが,技術にこだわり,責任感と情熱をもって試行錯誤を忍耐強く継続できることが求められる。 本講座では,活動を通じて物の捉え方,こだわり方を学生に指導し,"技術に興味を持つ価値観"を育てることを目指している。実際の電力設備や工場の見学,産業界からの講師派遣による講演の聴講,自身の研究成果の学会発表などを通じて,学生が社会を理解し視野を広げる機会を設けることも,その価値観を育むのに有効である。また,海外交流や産業界でのインターンシップなどによる人材育成を支援するほか,企業・研究機関や他大学との協同研究・技術交流なども進めている。産業界からの講師派遣による講演会は,学生だけではなく一般企業の方も対象としてテーマ選定しており,多くの学生が電気分野に興味を深めるとともに,電気関連企業の技術の底上げにも努めている。 【2】 研究の高度化 従来からの電源と送電系統との一体運用に加えて,情報通信技術で分散型電源やエンドユーザの情報を統合・活用した,高効率・高品質・高信頼度で環境負荷の少ない電力供給システム,いわゆるスマートグリッドが大きな注目を集めている。特に太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの性能や制御,再生可能エネルギーが増えることによる各種系統問題,スマートグリッドを連携する情報通信技術,工場や家庭の各種エネルギー管理システムなどが大きな話題になっている。しかし,発電機,変圧器,開閉器,送電機器,配電機器などの従来からの基幹系システム機器は,このスマートグリッドにおいても必要不可欠であり,電力エネルギー網の信頼性向上,経済性向上と環境負荷低減の中心的な役割を今後とも担うと考えられる。 この基幹系システム機器の技術を有する日本の機器メーカは,経済や市場のグローバル化が進む中で熾烈な競争を強いられており,世界最高レベルの技術を継続的に創出し・実用化して行くことが求められている。しかし,技術開発においてもスピードと効率化が重視される中で,創造的・試行錯誤業務が減少傾向になりがちであり,技術へのこだわりの減少や人材の減少・枯渇/技術低下が懸念されている。このような状況下で,大学の研究能力への期待には大きなものがある。 経年機器の延命や最適な時期の更新のための診断技術,経年機器を新製品へ短期間で経済的に更新するための新技術,地球環境負荷低減に関連する新技術などは今後ますます重要性が増してくると考えられる。本講座では,これらに関連した研究をより高度で市場ニーズに合致したものにするために,国内外の企業・研究機関との協同研究あるいは情報交換を推進し,産業界と大学が認識・課題を共有しベクトルを一致させて進めてゆきたい。 【3】 標準化・委員会活動の推進 電力分野に関する日本の技術は世界最高レベルにあるが,市場のグローバル化が急速に進む中で日本の技術を世界で生かすためには,IEC規格などの国際標準を日本の技術に合致したものにすることが重要である。そのため,電力分野のIEC規格の作成・改訂に際しては,日本の産学界がオールジャパンとして連携して,日本の優れた技術をIEC規格に反映する活動が推進されている。 規格内容討議は,各論なると専門性が非常に高いため,技術的には機器メーカが代表して参加することが適している反面,規格討議の詳細を中立の立場で国内に展開することができない場合も考えられる。一方で,実際の現場で議論されている内容や問題の本質を,日本の機器メーカやユーザ,大学に出来るだけ詳細に伝えて情報を共有することが,オールジャパンとして国際標準化を有利に進めて行くために必要不可欠である。本講座では,CIGRE A3.25(避雷器技術調査WG),IEC TC37 MT4(避雷器規格検討),IEC TC37 MT10(避雷器適用ガイドの改訂),CIGRE A3国内委員会(電力機器技術調査),UHV標準化委員会の活動を通じて,その役割を担ってゆきたい。 【学会活動】 学会等における委員会活動を推進する。 ![]() ![]() 【産学連携活動】 第6期までと同様に下記イベントを積極的に計画し,技術者教育を進める。 ![]() ![]() ![]() ![]() 【情報発信】 ![]() ![]() |
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